子育て層に暮らしやすい街づくり
2022年にオープンした、奈良市子どもセンター
奈良県奈良市は、古くから文化の中心地として繁栄した歴史を持つ、国際的な観光都市です。大阪へのアクセスもよく、市内には公園が多数整備されており、子育て支援制度も充実していることから、「共働きや子育てをしやすい街」として子育て世帯の転入が増加しています。奈良市では、「親子がより暮らしやすい街」の実現に向けて、安心・安全な子どもの居場所づくりや子育て世帯が外出しやすい街づくりを進めています。その取り組みの一環として、子育てを総合的に支援する施設「奈良市子どもセンター」がオープンしました。
ゆったり交流ができるベビーエリアとライブラリー
ライブラリーで絵本を楽しむ親子
子どもセンター内には児童相談所のほか、多様な子育てのサポートを行う地域子育て支援センターがあります。ライブラリーと赤ちゃんが遊べるベビーエリアは、この支援センター内に設置されています。シンボルツリーの本棚が印象的なライブラリーエリアは、利用者同士のコミュニケーションを促すエリアです。ゲームやパズル、絵本があり、家族でコミュニケーションや読み聞かせをして楽しめます。
はいはいやあんよができるベビーエリアと絵本が並ぶライブラリー
ベビーエリアには、五感を刺激して遊べる遊具やしかけが設置されており、乳幼児がハイハイやあんよを自分のペースで体験しながらゆったりと遊べます。支援センター内には気軽に育児の悩みを相談できる「子育てコーディネーター」が常駐しているので、小さな赤ちゃんを持つ子育て中の家族がいつでも訪れ、遊びながら子育てや発達に関する相談ができるようになってます。
静と動のあそびを両方楽しめるキッズスペース
発達に合わせたあそびを見つけて楽しめる開放感のある空間
支援センターに隣接する、未就学児を主な対象とした「キッズスペース」には、からだを動かす遊具や、ごっこ遊びが楽しめる遊具を機能別に設置しています。子どもたちは各エリアを自由に行き来しながら、体験したいあそびを見つけ、楽しみます。
ロビニアハウスで交流をしながら遊ぶ子どもたち
ロビニア材でつくられたシンボル遊具のハウスは、ごっこ遊びやコミュニケーションを行う憩いのスペースとして活用されています。アクティブエリアのエアマットなどの遊具は可動式のものも多く、場内イベントの際はフレキシブルに空間を使用できます。
奈良産の木材を活用した居心地のよい空間
木材でつくられた装飾や棚が並ぶ屋内スペース
場内の受付や下駄箱、絵本棚、ベンチ、柱、壁面装飾、ウッドデッキなど多くの設備に、奈良市の木材を使用しています。優良木材の生産地として有名な奈良市の木材は、やわらかな風合いでぬくもりを感じる演出となり、子どもたちにとっては、幼い頃から地域の特産である木材に触れる貴重な機会となります。
発達に合わせたからだ遊びが楽しめる屋外広場
段差が少なく歩き始めの子どもたちも楽しめるトドラー向けの大型遊具
屋外の広場は、発達別・あそび方別に遊具を設置し、2つのあそびのエリアに分かれています。静のあそびエリアには、乳幼児や未就学児がくぐる・のぼる・すべるなど、成長に必要な多様な動きを自分のペースで体験できる遊具が設置されています。素材を五感で感じながら楽しむ砂遊びや水遊びも、開放的な空間で存分に体験できます。
回転遊びを楽しむ子どもたち
動のあそびエリアは、揺れる・回る・跳ねるなど、さまざまな動きをダイナミックに体験できるエリアです。からだを動かしながら子ども同士のコミュニケーションが生まれるよう、複数の子どもが同時に遊べるブランコやシーソーも設置しています。
奈良の山並みをイメージした芝生の起伏がある屋外広場
また、遊具を設置していない広々としたスペースは、イベントや交流を促す「こもれび広場」として、地域の方や企業、プレイリーダー主催のイベントを開催して活用しています。
誰もが交流しながら楽しめるインクルーシブなあそび場
座る・立つなどさまざまな乗り方で、多世代一緒に揺れを楽しめるシーソー
にじいろ場内は屋内外共に、身体的なハンディキャップや発達障がいのある子どもなどを含めたすべての子どもたちが、自分に合ったあそび方を見つけて、みんなと同じ場所・同じ遊具で一緒に楽しめるよう工夫されています。
ベビーカーや車いすの利用者が回遊しやすいよう、できるだけ段差を少なくし、スロープや幅の広い動線を確保していることはもちろん、音遊びやジオラマなど五感を刺激するさまざまなあそびのしかけは、車いすに乗ったままでも手が届く高さに設置し、あそびに参加できるようにしています。
揺らす側・揺れる側が両方で関わり合いながらあそびを楽しむ
また、からだ遊びを楽しむエリアでは、体を自分で支えることが難しい子どもも一緒に遊べるよう、大人や友だちと一緒に「揺れ」や「回転」を楽しめる遊具を選定しています。このように屋内外の各あそびのエリアが、地域の子どもたち同士が関わり合いながら遊べる場所、また大人同士や多世代の交流を生み出す場所として機能し、地域の皆で一緒に子育てをサポートできる場所として利用されています。