• Hiタッチらんど・ハレニコ!
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関東

Hiタッチらんど・ハレニコ!

あそび場が、子育て支援と多世代交流の場に。そして、商業施設の集客装置に。

日立駅前のイトーヨーカドーの4階にある「Hiタッチらんど・ハレニコ!」は、2019年10月2日にオープン。広さ約2,350uと全国的に見ても最大級のこのあそび場は、自転車や三輪車で走りまわれるサーキットやボールコートなど、屋内でありながら存分に体を動かせる遊具も充実。汗びっしょりになるまで遊びまわる子どもたちの姿が見られます。この場所ができたことで、イトーヨーカドーをはじめ、駅前にも親子連れの姿が見られるようになり、街の風景が一変しました。

日立の駅前に人を呼びたい

目の前に太平洋が広がる日立駅。「Hiタッチらんど・ハレニコ!」のあるイトーヨーカドーは駅の中央改札口から徒歩約5分。

郊外型の大型ショッピングモールの出現などで駅前の人出が減少傾向にあるのは、地方都市に共通の悩み。海と山など豊かな自然に恵まれた日立市もその例外ではなく、2018年秋には駅前の大型商業施設・イトーヨーカドー日立店が撤退の危機に面していました。しかし、市長をはじめ、日立商工会議所の働きかけで、撤退は取りやめられることに。

「幸いにもイトーヨーカ堂は日立駅前に残ることを決めてくれた。4階と5階を市が借り上げて、4階に公共機能をもたせ、駅前に人を集めることになったのです」と日立市産業経済部 参事補兼商工振興課長の小山 修さん。

5階は既存のゲームセンターなどがそのまま営業するなどで整いましたが、約5,000uある4階フロアをどのように活用するかが課題でした。

商業施設に子どもたちのあそび場を

ボールを使ったあそびを体験できるボールコート。集団遊びは協調性やルールを知るきっかけに。

小山さんが考えたのが「子育てに関すること」に使用するアイデア。一方で定期的に行っている「市民ニーズ調査」でも、たびたび「子どもたちが安心・安全に遊べる場所がほしい」「天候に左右されないあそび場がもっと必要」という声が上がっていました。

「そこで、栃木県の足利市にある、スーパーの1フロアに行政が開設した屋内のあそび場『キッズピアあしかが』を視察しました。すると、年間で約20万人の来場者がいるという。多世代の交流の場になっていることも知り、ここもあそび場にしたいという方針を固めました」(小山さん)。

多世代が交流できる場所に

おじいさん、おばあさんとお孫さんが一緒に訪れる姿も。

多世代の交流拠点の整備には、国から地方創生拠点整備交付金の対象となることもあり、イトーヨーカドーの4階はさまざまな世代の人が集まり交流する場所として整備することに決定。プロポーザル方式で整備業者に決まったのは「キッズピアあしかが」を手がけたボーネルンドでした。

「面積も広く、オープンまでの期間も短かったのですが、限られた予算のなかでほかにはない大型遊具を入れてもらうなど、こちらの要望を叶えてもらいました。私の子どもが小さかった頃、ボーネルンドの玩具で遊んでいたこともあり、安心してお任せできました」(小山さん)

名称は市民からの公募で決定

ベビーゾーンには、乳幼児の発達や成長を促すような五感を刺激する仕組みがそこここに。

「Hiタッチらんど・ハレニコ!」という名称は、市民公募で決まりました。

「小学生の女の子が考えてくれたのが『Hiタッチらんど』。もともと、『Hiタッチダンス』という日立市の小学生みんなが踊れるダンスがあるので、言葉の響きになじみがありました。市の職員が考えた『ハレニコ!』は、天候に左右されずいつも晴れている、そして、ここに来ればニコっと笑えるから。400件以上あった応募のなかから、このふたつを合わせて名称としました」(小山さん)。

あそびのなかで子どもは育つ

プレーリーダーは、運営を任せているNPO法人子ども大学日立のスタッフ。

2019年10月2日にオープンしてから、1ヶ月弱で来場者は約1万5千800人。市外から訪れる人も少なくない。市民からは『こういう施設をつくってくれて本当にありがとう』という声が届いている。プレイリーダーたちが子どもたちからあそびを引き出す姿も印象的だ。

「ボーネルンドのパンフレットにも書いてある『あそぶことは生きること』という言葉がいいですよね。あそびのなかで子どもは心身を育む。そして、ほかの子どもやいろいろな人と関わって成長していく。子どもたちのあそびを引き出すために、プレイリーダーの研修にも力を入れているんです」(小山さん)

駅前に親子連れの姿が

ごっこあそびや組み立てあそびなどが楽しめるロールプレーゾーン。感性をより豊かに、想像力を育む。

オープン後は、イトーヨーカドーを訪れる親子連れが目立つようになり、売り場にも変化があったという。

「地下の食品売り場やフードコート、そして子ども服売り場の売り上げが確実に上がっています。駅前にあるドーナツ屋さんもドーナツがよく売れるようになったとよろこんでいました。バスを利用する人も増えたと聞いていますね」と小山さん。今後は同フロアに書店を誘致するなどの計画を進めている。

「ゆっくり本を見てもらえるスペースを設け、コーヒースタンドもつくって、ブックカフェにできたらいいと思っています」(小山さん)

日立駅前のにぎわいを再び

あそび場の向かいにある「子育てサポートエリア」では、子育ての悩み相談などが受けられる。

子育てサポートエリアでは、今後、ソフト事業を充実させていく予定だ。

「たとえば地元の商店街やホテルと連帯して、親子向けのワークショップを企画したり、駅前にある図書館の職員に読み聞かせしてもらったりしてもいい。また、イトーヨーカドーと駅前にある市の図書館や科学館は地下道でつながっているので、雨でもぬれずに移動できます。ちいさな子どもは『Hiタッチらんど・ハレニコ!』で遊んでもらい、大きい子どもたちは図書館や科学館へ、大人はショッピングへ。そんな流れが生まれて、『雨が降ったら、みんなで日立の駅前に行こう』となればいいですね」

日立市産業経済部 参事補 兼 商工振興課長 小山 修さん

日立市に生まれ育った小山さんが子どもの頃、駅前の商店街には300店もが軒を連ね、大勢の人たちでにぎやかだったという。駅前のあそび場をきっかけに、その頃のにぎわいが街に戻ることを期待しています。

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