豊かなあそび環境とは?H What’s the Excellent Playground?
子どもにとっての「セーフスペース」とは?
〜安心感と自己肯定感を育むあそび環境の役割〜
「豊かなあそび環境とは?」のコラムでは、あそび環境づくりを考える際のヒントになるような提案や事例をご紹介します。
今回は、子どもにとってのセーフスペースがなぜ必要不可欠なのか、そして、それをあそびの環境としてどのように実現できるのかを、具体的な役割とともにお伝えします。
安心の土台から始まる子どもの成長

近年、子どもの発達を支える環境を考える上で、「セーフスペース(安心できる居場所)」という概念の重要性が高まっています。セーフスペースと聞くと、怪我の心配がない「物理的な安全」を思い浮かべがちですが、本当に子どもたちの成長を支えるセーフスペースとは、それだけではありません。
ボーネルンドがあそび環境づくりで最も大切にしているのは、「子どもが心から安心して、自分自身を自由に表現し、挑戦できる」という心理的な安全の担保です。
「心の充電」を可能にするセーフスペースの役割

子どもたちは、集団生活や新しい体験の中で、喜びだけでなく、不安や緊張、怒りといった様々な感情に直面します。特に、社会性の発達途上にある子どもたちにとって、感情をコントロールし、心を落ち着ける時間と場所は不可欠です。
周囲の刺激から一時的に離れて「ここは自分がいてもいい場所だ」と感じられる居場所、また自分らしく活動でき心地よさを感じられる場所があることで、子どもは不安やイライラを静め、気持ちをリセットすることができます。
ボーネルンドの室内遊び場でも、外部の刺激から守られた落ち着ける空間(セーフスペース)の設置や、抱きしめることで安心感を得られるグッズの導入など、意図的に心の安全を確保する工夫が始まりました。
豊かな遊び環境が提供する2つの「安全」
セーフスペースを具体的にあそび環境として設計するためには、「物理的」と「心理的」、2つの視点からの安全確保が必要です。
思いきり挑戦できる物理的安全

子どもの発達において、「危険を回避する力」とともに「自分の限界に挑戦する機会」や必要な時に思いきりからだを動かせる場が必要です。
あそび場における物理的な安全とは、「過剰な危険を排除し、いつでも思いきり体を動かせる自由を保証すること」です。安全性を考慮したあそび場の設計や多様な動きを体験できる遊具が用意され、屋内外にいつでも体験できる場があることで、子どもたちは今やってみたいことに安心して取り組むことができます。
あそびを自分らしく体験できる心理的安全

子どもが主体的・自発的に活動するためには、「自分らしく過ごせる自由」が何よりも保障されなければなりません。あそびを通して、子どもたちは「試行錯誤できる自由」と「失敗しても大丈夫という安心感」を得ます。周囲の目や評価を気にせず、自分のペースで、自分のやりたいあそびや活動に没頭できる環境こそが、「ありのままの自分でよい」という自己肯定感を育む土台となり、こころの成長や学びにつながります。
活発なあそびが中心の環境でも、自分のペースで過ごしたい子ども、静かに一人で観察したい子どももいます。あそび場には、集団の交流を促すスペースと同時に、個々が落ち着いて過ごせるパーソナルスペースを確保することが求められます。
欠かせない「共感」する仲間や大人

セーフスペースは施設や道具だけで完結しません。最も重要なセーフスペースは、「仲間や大人の存在」です。
自分らしく活動することやそのプロセスを尊重し、試行錯誤している時にはサポートをしてくれ、「いつでも自身の感情や感動する気持ちに寄り添い、共感してくれる人がいること」こそが、子どもにとって最高の安心感につながります。
社会の中に広がるセーフスペースを目指して

子どもにとってのセーフスペースとは、単なる「周りから隔離された安全な場所」ではなく、「周囲ともつながりながら心が守られ、自由が保障され、自分らしくいられる場所」です。この安心感の土台があってこそ、子どもたちは豊かなあそびを通して、さまざまな課題に挑戦し学びながら生きる力を育むことができます。
ボーネルンドでは、子どもたち一人ひとりの発達ニーズに応えながら一緒にあそび体験ができるデンマーク・コンパン社の大型遊具を用いたあそび環境の設計から、室内の限られたスペースでも自分らしく過ごすことができる遊具・教具(セーフグッズ)のご紹介まで、お客様の事情や必要とされる状況に合わせてさまざまなご提案を行っています。
また、発達の専門家・星山麻木先生にご協力いただき、社会の中でのセーフスペースの設置や実際の子どもたちへのサポート方法についてワークショップを通して考える実践の場もご用意しています。
これからも、社会の中に子どもたちが心身を健やかに育むことができるセーフスペースとなるあそび場や学びの場を設置できるよう、皆さんと一緒に考え追求し続けます。
