世界のあそび場最前線!A World's Playground Report
環境を守るプラスチック遊具〜デンマークの事例〜
近年、地球温暖化や海洋のごみ問題が深刻化し、プラスチック製のストローやビニール袋などプラスチックの使用を減らす取り組みが世界中で進んでいます。
あそび道具作りにおいても、子どもたちが過ごす未来の地球を守るため、持続可能な原材料を使用した、地球環境に配慮した遊具の製造など「エシカル&エコロジー」の取り組みが世界で拡大中です。
今回は他国に先駆けて先進的な取り組みをしている、北欧のプラスチックメーカーの事例をご紹介します。
老舗遊具会社の先進的なエコ活動
50年以上、砂遊び道具やごっこ遊び道具を製造しているデンマークの「ダントーイ」社では、プラスチック遊具メーカーならではの環境負荷の問題を踏まえ、原材料選びから製造工程、使用方法、破棄後のリサイクルの段階に至るまで、環境を第一に考えたものづくりを徹底しています。
原材料に従来の原油ではなく、自社工場で出た「プラスチックのくず」を使ったリサイクルプラスチックなど、環境に優しい素材を使用。
デンマークの自社工場で、エネルギーや水、原材料の消費・排出を抑制した、環境に優しいプロセスで製造を行っています。
環境先進国のエコ製品の証・スワンマーク
ダントーイ社が、世界中のプラスチック玩具メーカーで唯一取得しているのが、ノルディック・エコレーベル(「スワンマーク」と呼ばれるエコラベル)。
この認証は、原材料から製造・使用・処分方法まで、環境に考慮してつくられた製品が取得できるエコラベルで、消費者による環境負担が少ない製品選びの目印にもなっています。
このラベルは北欧 5 ヵ国で展開されていますが、ラベル保持のためには厳しい基準を守り続けなければなりません。
環境先進国である北欧各国では、幼稚園・保育園で使用するものを選ぶ際、この「ノルディック・エコレーベル(スワンマーク)」がついた商品を使用するよう政府から推奨され、入札の条件になっているほど。
エコ製品の積極的な生活への導入を、徹底しています。
ダントーイ社製品の98%は、このノルディック・エコレーベル認証を取得済み。
そのためデンマーク国内のすべての幼稚園・保育園(約3,400ヵ所)ではダントーイ社の外遊び道具やごっこ遊び道具が使用されており、今では日本をはじめ、デンマーク以外の世界45か国の教育市場(小学校・幼稚園)に、環境にやさしいあそび道具が広がりつつあります。
新たな素材の選択肢「バイオプラスチック」
最近では、バイオプラスチック素材を使った「I’m greenシリーズ」の開発もスタートしました。
原材料の90%以上に、除草剤等を使用せずに育てたサトウキビを使用。
「耐久性」「強度」「使いやすさ」というメリットは、原油からつくったプラスチックと変わりませんが、二酸化炭素の発生を抑えた製造工程でつくられ、使用後はリサイクル可能な、環境に優しいプラスチック遊具です。
自然の素材を思わせる落ち着いた色合いの遊具は、屋外の砂や葉っぱなどの自然素材を使ったあそびや、木製家具や木目を基調とした保育室などの生活空間にもぴったり。
幼稚園や保育園の新たなあそび道具の選択肢にもなっています。
大人の選択が育てる、子どものエコ意識
環境問題は教育の中でも重要な問題として取り上げられていますが、身の回りの遊具を「エコ意識」をもって選ぶのは、子どもたち自身ではなく、私たち大人の役割です。
大切なのは、毎日使っている道具からその「意識」を伝えること。
身近にある道具が、未来を考えた「環境に優しい素材や過程」で作られその意識や願いのもと選ばれたものであることを知り、長い期間に渡って大切に使うこと。
これらは、子どもたちの環境への興味や意識を高めることにつながります。
私たちも、エコ素材であることだけでなく、長く使うことができるあそび道具を「環境に配慮したこだわりのあそび道具」として選び、これからもご紹介していきます。