世界のあそび場最前線!@ World's Playground Report

あそびの環境
 

公園でのあそびの在り方〜ドイツの森と融合した自然公園〜

皆さんの生活にとって、
「公園」はどのような存在でしょうか。

ジョギングや散歩をしに行くこともあれば、
遠足やレクリエーションで訪れたり、
家族で外遊びやピクニックを楽しみに行く方もいらっしゃると思います。

ボーネルンドも 40 年ほど前から、
大型遊具をヨーロッパから輸入し、全国の公園に設置をしたり、
最近では公園の中の室内あそび場を手掛ける機会も多くなり、

今の時代、市民にとって公園はどのようなあり方であるべきなんだろう?
子どもが幼少時代、公園で過ごす時間や体験すべきあそびはどんなことなんだろう?

こんなことを考える機会も、今まで以上に多くなってきました。

そのヒントを探しに、私たちは毎年世界中の公園を訪れる旅をしています。
今回は、2018 年に訪れたドイツの公園で見つけた、
公園内の遊具やその環境をご紹介します。

ドイツの森の中に広がる公園

今回ご紹介するのは
ドイツのローネ(Lohne)市の森の中で出あった公園です。

ローネ市には、もともと市民がそれぞれ目的をもってゆったりと過ごすことができる公園が少なく、
この森林公園も乗馬クラブはあるものの、
人々の住む家から離れたところに立地し、十分に有効活用されていない実態がありました。

森の中に芝生だけが広がる場所がありますが、
ガスや水道、電気をひいてくることも難しい土地。

こんな森の中、どうしたらもっと市民が訪れてくれるようになるのだろう。

こうした悩みを解決するために決めたのが、「遊具を設置すること」でした。

森の中をしばらく歩くと、
開けた芝生のゾーンにたどり着きます。

ここに広がるあそび場が、
今回ご紹介する森林公園です。

芝生に広がるあそびの数々

あそび場の名前が書かれた看板の向こうには、
風を切って進むターザンロープや、
すべり台がついた大きな塔、
砂場にシーソーなどの遊具が。
子どもたちは公園に到着するやいなや
すぐに駆け出して遊具に近寄り、思い思いにからだを動かし始めます。

この公園に設置されているのは、
「ロビニア材」を使用した木製遊具。

まわりの木々になじむ木製遊具は
森の景観を崩すことなく、あそびの機能を生み出し、
存在感のある大型遊具の塔は
芝生へと向かう森の中からもよく見え、
まるで「こちらへ来て一緒に遊ぼうよ」と
森の木々たちが子どもたちを歓迎してくれているかのようです。

奥にも小さな子どもたちが遊べる
高さの低いすべり台や
砂場、
回転式の遊具やハンモックが。

高年齢の子どもたちが大きなタワーで力試しをする一方、
奥のこのゾーンでは静かに休憩してクールダウンをする子どもや
砂遊びに集中する子ども、
何人かで回転遊具に乗っておしゃべりをする子どもたちの姿がありました。

ぽつんと置かれた馬の彫刻では
またがった瞬間に、カウボーイのごっこ遊びが始まります。

こうして、豊富な遊具が設置されているあそび場で
子どもたちは自分が夢中になれることを探し、
思い思いの楽しみ方で時間を過ごしています。

もともとの地形を活かしたゾーニング

遊具を豊富に設置するために、
ゾーニングにも工夫が施されました。

もともとの傾斜を活かして遊具を設置したり、
穴を掘って遊具を設置する際に出てきてしまう大量の土を
廃棄するのではなく再利用して築山をつくることで、
設置するための地作りにかける費用を
遊具に充てることができたのだそう。

こうした工夫で、多くのあそびのきっかけが生まれる
この土地ならではの公園が完成したのです。

大人も巻き込む遊具

まわりのベンチをよく見ると、
座ると揺れるスプリングが施されています。

高いところへ登って降りる子どもたちだけではなく、
大人も遊具を使って森の中でのんびりくつろげるしかけです。

公園の遊具は子どもたちだけのもの、
と思われがちですが
親子で楽しめる仕様や
大人が一人でも楽しめる工夫があることで
誰にとってもかけがえのない空間となっていきます。

森林公園の中のあそび場の役割

この公園は街からやや距離があるものの、
この日も幼稚園、学校の遠足、家族、
また近所の親同士が交代で子どもを連れて遊びに来るなど、
代わる代わるたくさんの子どもたちと保護者が集まっていました。

子どもにとっては
親子や友だちとコミュニケーションをして
時間を過ごせる場。
遊んで知識やこころを育み、
自由なあそびをかなえ、思いきりからだを動かせる場所。

大人にとっては、
他の親子と出会いコミュニティを形成、また成長させるきっかけづくりができる場所
自分自身の心や体をリフレッシュ・リラックスさせる場

子どもも大人も
こうした思い思いの過ごし方をしている姿を見て
森の中に登場した遊具が
決して人工的なものではなく、
この中で過ごすかけがえのない時間や
過ごす間に感じる天候や風などの自然の恩恵、
自然本来の豊かさを
より引き立てているように感じました。

今後も、旅をして見つけた
世界の公園とあそびの状況を
このコラムでお知らせしていきます。

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