学びのトピックスA Education Now

ボーネルンドと考える
「Active Learning(アクティブ・ラーニング)」
〜問題解決力と批判的思考について〜

こんにちは。
今回も、引き続き「アクティブ・ラーニング」についての話題を取り上げます。
前回、アクティブ・ラーニングによって育まれる力についてご紹介をしましたが、今回はその中の「問題解決力と批判的思考」について考えてみたいと思います。

問題解決力って、なに?

「アクティブ・ラーニング」の中で、子どもたちは想像力を駆使しながら、考える力を引き出します。

たとえば、「建物の屋根に乗ってしまったボールを取り戻すには?」という問題が出された場合、その解決のための過程や方法を、知識や経験から導き出します。
指導する側の大人は、具体的に想像しやすい問いを投げかけることにより、考えるきっかけをつくります。

一つのテーマでも、子どもによってさまざまなアイデアや学びが起こるので、解決方法の話題が科目の壁を飛び越えることもしばしば。

想像力を働かせることで、学びのテーマがより理解しやすく、何より楽しくなるので、生き生きと前向きに「自分で学びたい」と思う気持ちが育ちます。
学びの意欲が刺激されると理解度がより深くなり、問題解決力を身につけることにもつながります。

こうして身の回りのものの存在や意味を知る・理解する・考えることを繰り返し行うことで、だんだんと思考を関連することへ広げて考えられるようになり、学び自体も広がりをもっていきます。

批判的思考って、なに?

アクティブ・ラーニングで育まれる「批判的思考」は、情報を分析し、それが正しいのか誤りなのかを判断する力を指します。これは意志決定をする際に役立つ、数多くのスキルへとつながる力です。

ある物事や問題に対して批判的に考えるには、柔軟で多角的な思考を持ち、解決のために他の選択肢のことも考えられなければなりません。
そのためにはオープンエンドな質問(=答えが一つだけではない質問)を子どもにすることや、大人が子どものあそびにすぐに介入したり、邪魔をしたりしないことが重要です。

考えるきっかけに出あい、原因や解決策、結果などの仮説へ思いを巡らすことにより、自分で自分の思考を刺激する。
こうした思考の刺激を繰り返し受けながら、子どもたちは発見、過程、情報の応用を自発的に経験していきます。

海外のアクティブ・ラーニング実践例 〜オランダの小学校から〜

自発的な学びであるアクティブ・ラーニングを行うことは、子どもたちが自分自身で「なにを理解できていて、どこの部分は曖昧で間違えやすいのか」を把握することにも役立ちます。
それは、異なる能力や個性、達成度の子ども達が、それぞれのペースで参加できる学習にも有効であるともいえるでしょう。

日本よりも早くからアクティブ・ラーニングをはじめている国のひとつが「オランダ」です。
オランダでは、1985年に幼稚園が廃止され、幼児教育は小学校からスタートします。小学校には、早くて3歳から入ることができ、1年生の一学年には4〜6歳の子どもが混在しています。

個人差がいちばん大きいこの年齢層のクラスでは、文字の読み書きや数の概念の理解などは、子どもによってさまざま。担任の先生は、成熟度の異なる子どもたちだいたい20〜25人をひとクラスにまとめ、授業を進行していきます。効率よく授業を行わざるをえないため、授業の中では子ども同士の学び合いも活発に行われます。

遊具も、年齢ごとのあそび道具を全てそろえられるスペースがないため、ひとつの道具でさまざまな年齢や発達段階に応じて取り組める、シンプルなものを厳選されて使用。
一見どう遊んでいいのか分からない時でも、先生が少し助言したり、皆で遊び方を考案できるものを使用したりすることで、一人でも遊べるような道具が教材として選ばれ、教室に置かれています。

こうした環境の中で子どもたちは、自身の達成度を自ら確認し、次のステップを自分で決めながら学習します。年齢や学年といった枠組みによって学びが制限されないため、子どもや先生は、より自信と確信を持ちながら、学びのプロセスに夢中になることができるのです。

今回は、アクティブ・ラーニングの意味や、「未来」を生きていく子どもたちの力を育む教育現場を取り上げました。
今後もこのコラムで、世界中で起こっているアクティブ・ラーニングのヒントをご紹介していきます。

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