全国に広がる多様な個性を育む場
3.11のあそび場から発展して
「クルール」が生まれたきっかけは、2011年の東日本大震災の翌年、復興庁とボーネルンドが協働で岩手県釜石市の中妻体育館に3日間限定のあそび場を提案したことでした。 当時、復興庁の政務官だった津川さんは、体を動かして元気に遊ぶ子どもたちの姿を見て、あそびの大切さを実感。 その後、静岡県藤枝市にトレミーという子育て支援事業を行う会社を興し、2014年にボーネルンドと発達障がいの子どものための室内あそび場クルールをつくりました。
「自ら遊びたいという気持ち」を引き出す
利用者から多くの反響を得て人気になり、2016年にはよりダイナミックなあそび求める子どもたちのために多彩な大型遊具を導入した「青木クルール」も開設しました。
津川さんは、体の発達を促すのに大切な「自ら遊びたいという気持ち」を引き出すことを常に考えていると言います。「そのためにこの子はこのあそびが好き、と決めつけずに、新しいあそびやより高度なあそびに挑戦する機会を提供するようにしています。
保護者の方にも理解いただくために、日頃から情報交換を重ねるようにしています」。
同じ空間で一緒に遊ぶ風景を
施設内には、言語聴覚士や認定リトミック指導資格保持者の保育氏など、経験豊富な専門スタッフらも常駐し、少人数制や個別支援、思いきり飛んだり跳ねたりと、家や公園ではできないような体遊びなど、ソフト面でも多様なプログラムが考えられています。
また、ここは子育て相談や保護者間の交流の場としても重要な役割を担っています。クルールでは、年に数回、地域の子どもたちに施設を一般開放しています。
「障害のある子どもとない子どもが同じ空間で一緒に遊ぶ風景が、日本中で当たり前になれば」と願う津川さん。今後は未就園・未就学の早期支援のための多機能型の施設も展開する予定とのこと。
こうした多様な個性を育むあそび場が、さらに全国に広まっていくことが期待されます。