カーディーラーのショールームを子どもの遊び場に
ショールームの一等地にあそび場を設け、地域の人たちに無料開放しているLiMOLiMO。子どもたちの賑わいが、かつては閑散としていた店舗に活気を与えるとともに、お客様とお店との間に深い絆が生まれました。
株式会社HoQホールディングス 代表取締役社長宮崎貴久さん店の価値を落とさず来店ハードルを下げる
静岡県内にある2つの「LiMOLiMO」は、スズキアリーナのショールーム内にある子どもの遊び場です。2015年にオープンした浜松市の「LiMOLiMOもりた」に続き、2017年5月に静岡市でオープンした2号店「LiMOLiMOしずおか」も、ボーネルンドが手掛けました。
LiMOLiMOの特長は、ショールーム内の約半分、それも一等地である窓際に設営されていること。さらに誰にでも無料開放し、来店ポイントを貯めてプレゼントがもらえるスマートフォンアプリまで提供していることです。そこまでのサービスを提供しながら、あそび場を利用する方に対して車の購入をおすすめする営業は一切していません。その理由について、LiMOLiMOを運営する株式会社HoQホールディングスの宮崎貴久社長は「店の価値を落とさず、来店のハードルを徹底的に下げたかったから」だといいます。
同社でスズキ車を扱うようになったのは2012年、スズキの城下町である浜松に新規参入したスズキアリーナ森田は、後発店の弱点を克服するために試行錯誤を重ねていました。他店との差別化を図るために、FMの公開放送などさまざまなイベントを行ったものの、どれも一過性の効果で終わってしまう。そんなときにヒントになったのが、横浜みなとみらいにある親子の室内あそび場「キドキド」でした。当時、未就学児だったわが子を夢中で遊ぶ姿を見た宮崎社長は、スズキの顧客が女性やファミリー層であることを改めて思い出し、子どもが遊べるスペースを設けることを思いついたそうです。
等身大の親の目線で共感を呼ぶ店舗をつくる
LiMOLiMOがつくられた背景には、社長自身が子育て世代の等身大の視点をもっていたことが関係しています。さまざまな子ども向けの施設を見て歩き、多くの人で賑わう場とそうでない場をリサーチした結果、自社にあそび場を導入するポイントを次の3つに絞り込んだそうです。1)子どもがいつまでも熱中して遊べること、2)幼時から小学生まで幅広い年齢層に受け入れられるもの、3)お母さんたちが憧れるブランド力。
「ボーネルンドさんの商品は、子どもが一つの遊具に熱中して遊ぶ時間が長いんです。そしてキドキドで遊んでいる子の年齢の幅も広い。」
閑散としていた店舗が一転 導入から2年で売上No.1に
静岡県内にある2つの「LiMOLiMO」は、スズキアリーナのショールーム内にある子どもの遊び場です。2015年にオープンから2年、スズキアリーナ森田の売上は1.5倍に向上。「それまでは図書館のような静けさだったこともある」店舗が、今では全13店舗の中でトップレベルになっています。
効果は売上だけではありません。来店客が数十倍になったことで、社員のモチベーションもアップし離職率が低下。新しいサービスを自発的に提案することも増え、活気にあふれる店に様変わりしました。2号店オープンの折に、1号店の常連のお客様が浜松から80キロ判れた静岡まで応援団として駆けつけてくれるほど、お客様と強い絆が結ばれています。2号店の出足もよく、オープンから半年後には効果が期待できるとの予測で、立地条件が合う物件が見つかった折には、3号店出店も視野に入れているそうです。